Web Magazine

鉢植えで楽しむ果樹栽培(前編)

品種に適した気候の場所で育てることが求められる果樹栽培ですが、鉢植えなら「日当たり」や「風通し」など、細やかな環境に配慮して果樹を育てられ、小さなスペースでも十分に生長を楽しむことができます。前編では、果樹栽培で知っておきたい基本の知識をご紹介します。

INDEX
  1. 鉢植えで果樹を育てるメリット
  2. 沖縄の鉢植えにおすすめの果樹
  3. 鉢の選び方
  4. 肥料のやり方

鉢植えで果樹を育てるメリット

・メリット01  広い土地がなくても育てられる

広い土地がなくても、ベランダの一角や玄関先、屋上などちょっとしたスペースで育てられる。また、鉢植えの場合は果樹自体が大きくなりすぎず、収穫もしやすい。

・メリット02  環境管理がしやすい

露地栽培と違い鉢植えは移動ができるので、日当たりを調整したり、雨除けや防風、防寒、防暑対策がやりやすい。

・メリット03  土づくりがしやすい

意外と難しい土づくり。露地栽培だと地質が生長に影響するが、鉢植えの場合は基本用土と改良用土バランスよく配合された「果樹用培養土」を使えば、手軽に果樹栽培が楽しめる。

沖縄の鉢植えにおすすめの果樹

沖縄で育てやすい果樹を厳選してご紹介します。よい苗木を選ぶことは収穫には欠かせません。主枝が太く、根のはりがよいものを選びましょう。

1. レモン

温暖な気候を好む。樹勢が旺盛で、特に夏は剪定が必須。仕立て方は、主幹を中心にバランスのよい3本の枝を選んで残りを間引く。結実した果実を全て生育させると栄養不足になり味も落ちるので、適度に摘果が必要。

・植付/2月〜4月、10月頃

・収穫/1月〜4月頃

2. イチヂク

葉が大きく蒸散量も多いので乾燥に注意し、夏場は特に水やりをきちんとすること。1年目は十分に樹を育てるため、実は摘果する。実の成熟期に雨にあたると果実が裂けるので、雨よけできる場所で管理する。

・植付/10月中旬〜12月中旬、2月下旬〜3月下旬

・収穫/6月下旬〜8月初旬、8月中旬〜10月下旬

3. アセロラ

気温が25〜35℃あると年間5〜6回ほど開花し結実する。植え付け後は日陰で直射日光があたらないようにし、新芽がでたら徐々に日光にあてる。収穫した果実は傷みやすいので、ジュースやジャムなどに加工して楽しむ。

・植付/4月中旬〜6月下旬

・収穫/6月〜10月頃

4. パッションフルーツ

別名「クダモノトケイソウ」。綺麗な花も楽しめるつる性の多年草で、グリーンカーテンとしても人気。確実に結実するには人工受粉がおすすめ。実がなると徐々に色づき、完熟して落下したものを収穫する。

・植付/3月下旬〜5月中旬

・収穫/8月、12月〜1月頃

5. ドラゴンフルーツ

サボテン類だが、開花から結実、収穫までは水をとても必要とする。花は4節目以降に咲くので、剪定・誘引の作業が重要となる。夜間に花が咲くため、大体22時頃から人工受粉を施せる。

・植付/3月〜5月頃

・収穫/8月〜10月頃

6. マンゴー

本来樹高が10m以上育つほど生育旺盛だが、鉢植えだと高さが抑えられる。1枝に1果を目安に間引き、実が大きくなったら枝ごとネットなどにいれ、自然と落ちるものを収穫する。できるだけ雨よけができる場所が好ましい。

・植付/3月〜5月頃

・収穫/7月中旬〜8月頃

7. ブルーベリー

沖縄では暖地栽培に適したラビットアイ系統がおすすめ。1品種だと実付きが悪いので2品種以上を一緒に植えるとよい。乾燥に注意が必要で、特に夏場はやや日陰の場所に移動させ、朝夕たっぷり水やりをする。

・植付/10月初旬〜3月頃

・収穫/6月中旬〜9月頃

8. ビワ

生長が旺盛なので大きめの鉢に植え付けるとよい。受粉樹や人工受粉の必要がなく1本で実を付ける。摘果は1果房に1〜2つが目安。摘果後は袋かけを行う。葉には抗酸化物質が含まれており、煎じてお茶として飲用できる。

・植付/10月、3月中旬〜4月中旬

・収穫/6月中旬〜7月頃

鉢の選び方

鉢は一般的に大きいものほど果樹がよく育ち、植え替える頻度は少なくてすむが、苗木の大きさに合う鉢のほうが通気性がよく育ちやすい。育てたい果樹の苗木がどれくらい生長するか性質を調べて、果樹の生長に合わせて鉢を大きくしていくか、根を切って鉢の大きさに合わせて育てるか調整しましょう。

・黒鉢

樹脂製の大型鉢。深さがあり土容量もたっぷり。生育旺盛な果樹や、果樹を大きく育てたいときにおすすめ。取手付きなので、移動に便利。

・陶器鉢

素焼きの鉢は通気性に優れ果樹栽培向き。オシャレでガーデンの雰囲気もでる。焼きがしっかりしていて厚めのものを選ぼう。

・プラスチック鉢

陶器鉢に比べ通気性は劣るものの、軽くて移動がしやすく、値段も手頃。色が選べたり、デザイン性の高いものもある。

肥料のやり方

効果的に施肥をすることで果樹の育ちがよく、実つきもよくなります。根は肥料(養分)を求めて伸びていくので、植え替えのときは根から離して土の中に油かす(ぼかし)を入れます。また、鉢の植え替え後に水やりをしたら、植物活力素(メネデール 100倍液)を与え、1ヶ月後に液体肥料(ハイポネックス 500倍液)を施します。3ヶ月ほどしたら、鉢土の表面に油かすを追肥しましょう。

・植物活力素…メネデール

鉄分をイオンの形で含む水溶液で、素早く吸収され根の生長を助ける。植え付けや植え替え、株分け、挿木などはもちろん、弱った植物にも効果的。

・液体肥料…ハイポネックス原液

植物の生育に必要な15種類の栄養素をバランスよく配合した液体肥料。野菜や果樹などの花や実つき、花色、葉色をよくする。

・ぼかし…醗酵油かす

醗酵した菜たね油かすにリン酸、チッ素、カリウムを配合した遅効性の有機質肥料。「ぼかし」とは、生の油かすを発酵させたものをいう。

監修/金城はじめ(メイクマングリーンアドバイザー)
初出/メイクマンfile vol.55(2015年6月18日発行)

イベントをシェアする

同じカテゴリーの記事

TOP