鉢植えで楽しむ果樹栽培(後編)
品種に適した気候の場所で育てることが求められる果樹栽培ですが、鉢植えなら「日当たり」や「風通し」など、細やかな環境に配慮して果樹を育てられます。小さなスペースでも十分に生長を楽しむことができますよ。後編では、果樹が生長し土が古くなったり、根詰まりをおこしたときに行う「鉢の植え替え作業」と「挿木」での増やし方を紹介します。
INDEX
- 鉢の植え替え作業
- STEP01 上部をカットする
- STEP02 底部をカットする
- STEP03 側面を削ぎ落とす
- STEP04 軽石を入れる
- STEP05 用土を作る
- STEP06 元肥を置く
- STEP07 土をかぶせる
- STEP08 土を整える
- STEP09 樹勢を整える
- STEP10 植え替え終了
鉢の植え替え作業
準備するもの
- 赤玉土(中粒・17ℓ)
- 果樹・花木の土(15ℓ)
- 醗酵油かす(中粒・500g)
- 鉢底用軽石、
- カンパナ鉢(幅32×高さ28cm)、
- 園芸支柱(75cm)
- ゴムハンマー、
- 深型スコップ
- ペーパータイ
- ガーデン鋏、
- 園芸用クマデ(又はピンセット)
- トロ舟
- ジョーロ
STEP01 上部をカットする
鉢から引き抜き、固まっている表面の土を上から1〜2cmほどガーデン鋏で切り落とす。
根詰まりがひどく鉢から抜けない場合は、ゴムハンマーや木づちなどで軽く叩くと抜きやすくなる。
STEP02 底部をカットする
鉢底から5分の1程度を切り落とす。なるべく水平にきれいに切るようにする。
STEP03 側面を削ぎ落とす
鋏で根鉢に縦方向に7〜8ヵ所切れ込みを入れ、側面を切り落としていく。こうすることで新しい根が外へ伸びていこうとする。
切ったところの根は、ピンセットやクマデなどを使い、写真のようにほぐして整えてあげるとよい。
STEP04 軽石を入れる
水はけをよくするため軽石を鉢底から2〜3cmの高さまで入れる。
STEP 05 用土を作る
果樹・花木の土と赤玉土は1:1。赤玉土を混ぜることで水はけ、通気性、保水性がよくなる。
種類の異なる土が馴染むようにスコップでよく混ぜておくこと。
STEP 06 元肥を置く
用土を鉢の3分の1(根鉢から10cmほど下)まで土を入れたら、元肥として油かすを置く。
STEP 07 土をかぶせる
根が直接触れぬよう元肥の上に土をかぶせたら、根を据えて土をかぶせていく。
STEP 08 土を整える
根元に土をかぶせたら、全体を棒で差していき、すき間なく用土が中まで入るようにする。
STEP 09 樹勢を整える
植替え後は根に対して葉が多く乾燥が激しくなるので、余分な枝を剪定する。
STEP 10 植え替え終了
鉢底から流れ出る水がきれいになるまで水やりをして終了。(使用苗:スイートマルベリー)
植替え後の果樹はバランスが悪くなっているため、支柱を立て、ペーパータイで数ヵ所固定する。
挿木で果樹を増やしてみよう!
鉢植えを増やしていくことも、果樹栽培の楽しみのひとつ。挿木は種から育てる実生に比べると生長がはやく、良質な親木の性質をそのまま受け継ぐことができるなどの利点があります。
①新梢の徒長枝などから状態のよい場所を1〜2節切り、下葉をとって、残した葉の半分を切る。
②水を入れた容器に①を入れ、30分ほど水揚げする。鉢に湿らせた土を入れ、鉢沿いに枝を植える。上の節の付け根までさすように植えること。
③水をやった後、支柱を立ててビニールで全体を覆う。3週間ほどで発根したら、植え替える。
監修/金城はじめ(メイクマングリーンアドバイザー)
初出/メイクマンfile vol.55(2015年6月18日発行)